令和3(2021)年度 新政策と予算編成の方針

令和3年度新政策と予算編成の方針

10月6日記者発表
令和3(2021)年度新政策と予算編成の方針

資料(PDF形式382キロバイト)(令和2年10月) 

1 令和3年度新政策について

 ~「ウィズコロナ」時代を生き抜き、和歌山を再生する~

 新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、最優先事項として、徹底した感染拡大防止に引き続き取り組むとともに、大打撃を受け、苦境に立たされる地域経済と雇用、県民のくらしを守り切る。

また、このコロナ危機による世界の激変を十分見極め、新しい世界を先取りし、攻めの姿勢で未来を拓く新たな取組に挑戦し、この危機を乗り越えていく。

 このため、令和3年度新政策については、『コロナ禍から経済とくらしを守り切る』『新しい世界への対応と挑戦』の2つの政策を柱として積極果敢に施策を展開し、ウィズコロナ時代を生き抜き、和歌山の力強い再生を実現していく。

コロナ禍から経済とくらしを守り切る

①コロナ不況に負けず雇用と経済を守り抜く
 コロナ危機による不況からの脱却

  コロナ危機により、観光や外食などのローカル産業や経営基盤の弱い中小企業は、需要の減少や資金繰りの悪化など甚大な影響を受けており、これまでも全国に先駆け実施した金融支援をはじめ、全業種を対象にした県独自の包括的な支援策を講ずることで、事業継続を強力に支援してきた。

 しかしながら、現下の情勢が長期化する恐れがある中で、リーマンショックを超える規模の大きな経済的な落ち込みが見込まれることから、さらに県内企業の資金繰り対策として十分な融資枠を確保するなど地域経済を守り抜く。

 雇用情勢の悪化により離職を余儀なくされた失業者に対して、緊急的に雇用の機会を確保するため、臨時的・一時的な雇用を創出するとともに、慢性的に人材不足となっている事業への就労を支援していくことで、安定的な雇用につなげていく。

 また、新卒者、UIターンや第二就活への支援に加え、業種・職種転換を伴う職業訓練など就職支援策を強化することで、全ての雇用を守り抜く。

 加えて、下請等中小企業における取引条件の改善を図ることで、事業継続を下支えするとともに、AIやIoTの活用、新技術や新サービスの創出などウィズコロナ時代を勝ち抜くための設備投資を強力かつ集中的に支援し、一気に生産性向上を図る。

 ・観光産業の発展

 コロナ禍により、海外との往来が制限され、本県を訪れる外国人観光客は激減している。一方で、日本人の旅行先の選択肢が国内に限られており、海外から国内へと新たな旅行需要が生じている。

 これらの変化を捉え、減少した観光客を取り戻し、本県への更なる誘客を図るため、豊かな自然と文化に恵まれた和歌山の魅力を大々的にPRする「蘇りの地、わかやま」キャンペーンを引き続き展開していくとともに、教育旅行の更なる誘致や、ワーケーションの活用など「新たな旅のスタイル」の普及・促進を図り、県内観光産業を復活させる。

 ・攻めの農林水産業の推進

 コロナ禍の中で、インターネットの活用など多様な販売形態への対応が求められている中、e-コマースを活用した販売を促進していくとともに、生産基盤の強化、ICT技術等の導入によるスマート化により、足腰の強い農林水産業を実現していく。

 さらに、県内農林水産業を支える新たな担い手を確保するため、地域の受入体制の整備や新規就業者の育成支援を推進するとともに、新たに農業系高校と農林大学校の5年間一貫教育による次世代を担う人材育成に取り組む。

②保健医療行政の充実でコロナに打ち勝つ

 ・保健医療行政による感染拡大防止対策

 感染者の早期発見のための積極的なPCR検査、早期隔離のための全例入院、感染源の探求や濃厚接触者特定のための徹底した行動履歴調査に、保健所の統合ネットワークシステムを加えた「和歌山方式」に取り組んでいくとともに、入院病床の確保や環境衛生研究センターの再整備による検査体制の充実、感染管理認定看護師の確保支援など、県を挙げての徹底した感染拡大防止対策に取り組む。

 ・質の高い医療体制の提供

 コロナ禍において、地域医療機関は重要な役割を果たしている。

 今回の感染症のような危機的事象が発生した場合においても、県内のどこに住んでいても、必要な医療を受けることができるよう、県立医科大学の地域医療枠等を活用して、医師の地域偏在や特定診療科における医師不足の解消に取り組むことで、住民が安心して、質の高い医療を受けることができる体制を維持する。

③誰もが安心して暮らしていける体制をつくる

 ・地域において課題を抱える人への支援

 コロナ禍において、失業あるいは収入の大幅な減少による生活不安、ストレスの増加に起因した自殺リスクの高まりなど、複合的かつ多様な課題を抱えているにも関わらず、必要な支援につながらず、地域で孤立する人をゼロにするため、地域の多機関協働による包括的な支援体制の強化により、セーフティネットの網からこぼれ落ちないようにし、誰もが安心して暮らしていける社会を実現していく。

 また、新たな人権侵害であるSNS等でのコロナに関連した誹謗中傷を禁止する条例を制定するなど、断固とした措置を講じる。

 コロナ禍においても質の高い介護や障害福祉サービスを提供するため、人材確保や施設整備等を支援する。

 アルコール、ギャンブルやゲームなど様々な依存症の増加リスクに対して、予防教育や相談・医療・回復支援などの対策を総合的に推進する。

 さらに、様々な事情で家族と離れて暮らす子供と里親家族をつなぐ取組を強化し、未来を担う子供の最善の利益を実現する。

 ・地域を守る取組の推進

 コロナ禍においても高齢者の通院や学生の通学など生活を支える地域公共交通を守るため、住民と一体となって事業継続が図られるよう支援する。また、人口減少や少子高齢化が進行する中で、市町村が行う地域に適した交通体系の再構築を支援することで、地域住民にとって不可欠な生活交通を維持・確保していく。さらに、バリアフリー化、キャッシュレス化を促進し、利便性を高めるとともに、インバウンドの回復を見据えた取組を行う。

 また、過疎地域の集落機能が急速に低下しているため、寄合会や地域おこし協力隊の活動への支援を通じて地域の担い手を確保し、地域の課題解決や活性化に向けた住民主体の取組を支援する。

 ・人口減少時代における生活環境の提供

 利用者人口が減少する一方、老朽化などが進む上下水道施設の持続的な事業運営のため、施設管理の一元化や共同化など市町村と連携した基盤強化に向けた取組を促進する。

 さらに、汚水処理の普及向上のため、共同浄化槽の導入に対する新たな支援により、合併処理浄化槽の普及を促進する。

ウィズコロナ時代でも安心な「妊娠・出産・子育て」環境を整備する

 コロナ禍で妊娠・出産を控えることがないよう、安心して妊娠・出産ができる環境を提供するため、不安を抱える妊婦へのPCR検査に対して支援する。加えて、オンラインでの相談体制の構築やきめ細かな保健指導をするとともに、妊娠・出産への不安を解消できるよう情報発信を強化する。  

 また、多子世帯への保育料の無償化に加えて、保育ニーズがあるあらゆる世帯への支援を充実するなど、全国トップクラスの取組を推進することで、子供を安心して育てられる環境を充実していく。

⑤コロナにも負けない健康づくり運動を推進する

 感染に対する不安から、過度に外出や受診を控えることにより、糖尿病など基礎疾患の重症化や認知機能の低下、要介護状態の悪化など、健康を損なう高齢者の増加が懸念される。

 このような事態を招くことがないよう、検診受診をはじめ、健康推進員を活用し健康づくり運動の実践を強力に行き渡らせるとともに、新たにオンラインを活用した専門家による運動指導を実施するなど健康づくりや介護予防の取組を強化する。

 さらに、介護を受ける高齢者の重症化を防ぎ、再び自立した生活を送れるよう、機能訓練や生活援助の提供など自立支援ケアマネジメントに積極的に取り組む介護事業所を推奨する制度を創設するとともに、利用者や家族の意欲向上を図るため改善効果の「見える化」に県内全域で取り組む。

災害から命を守り切る

 台風や局地的豪雨による被害が頻発し、近い将来発生が懸念されている南海トラフ地震・津波への対策が喫緊の課題である中で、大規模自然災害から住民を守るため、命を守る道路や河川・海岸整備を着実に進めるとともに、全国トップクラスの防災・減災対策を推進していくことで、「災害による犠牲者ゼロ」を実現していく。

 また、大規模災害に備え、未耐震化住宅の津波避難困難地域からの移転支援や医療施設等の整備などの災害医療体制を強化するとともに、避難所へのパーテーションの備え付け等による感染症対策の徹底や、避難者名簿のデータベース化などICTを活用した災害対応力の強化を図る。

新しい世界への対応と挑戦 

企業と人を和歌山に呼び込む

 ・大規模オフィス誘致に向けた企業誘致戦略の推進

 コロナ禍を契機としたリモートワークの普及を背景に、本社機能の都心への一極集中による感染症や災害に対するリスク低減を図るため、部門移転を含めた企業の地方分散の動きが生まれている。

 この機会を逃すことなく、首都圏からのアクセスの良さや全国トップクラスのネットワーク環境、オフィス賃料の安さなど充実したビジネス環境と、住宅、教育、医療など快適な生活環境をもつ和歌山の強みを活かし、ICT・オフィス系企業誘致を強力に推進する。このため、全国最高水準の奨励金制度と併せて、最先端オフィスの開発を支援するとともに、新たに社員住宅の確保支援や転校が必要となる子供への学校紹介、自然とITが共生する豊かなまちの開発支援など「職住近接プラン」を提案し、企業の移転やその社員の移住を全面的にバックアップする。

 また、官民連携で新たに施設整備を行い、ワーケーションの取組を加速させ、それを梃子としてサテライトオフィスの誘致を促進する。

 ・多様なニーズに応じた移住・定住大作戦の推進

 大都市部での感染リスクの不安に加え、テレワーク勤務の普及により、勤務先や仕事は変えずに地方での居住が可能となったことから、これまでの働き方が見直され、地方回帰のニーズが高まっている。

 一方で、何もしなければ、他地域との競争に打ち勝つことはできない。

 温暖で生活環境の整った地方都市暮らしを大都市圏で積極的に売り込むとともに、キャリアアドバイザーによる東京・大阪相談窓口での就職支援を強化するなど、「くらし」「しごと」「住まい」の3つの側面から移住希望者を強力に支援することで、移住者の獲得を図る。

 また、ピンチをチャンスと捉え、過密な大都市から脱出する人材を獲得するため、オンライン面接、マッチング支援などリモートでの採用活動を新たに支援する。

 さらに、新たにシェアオフィスやコワーキングスペースなどの整備を支援することで、都市と地方の両方に拠点を持ち仕事をする「二地域居住」のニーズにも応え、新たな関係人口を創出し、将来の移住につなげていく。

② ポストコロナ時代を見据えた産業、ひと、基盤づくり

 ・「デジタル和歌山」の実現

 コロナにより産業全体のデジタル化がこれまでと比較にならない速さで進む中で、5G基地局など都市IoT化に必要な仮想空間を支える社会インフラの整備を積極的に促進する。

 県内事業者が世界と戦える環境を整えるため、e-コマースを活用した販売の拡大やWeb商談の環境整備など、新たに非対面型のビジネスモデルへ転換する取組を強力かつ集中的に支援することで、デジタルトランスフォーメーションを推進し、併せて県内IT産業への需要を創出する。

 また、県内市町村を含む行政のあらゆる分野において、電子申請、オンライン相談を導入するとともに、県所有情報の電子化を進め、行政のデジタル化を強力に推進していく。

 ・次代を見据えた新産業の創出

 産業構造が劇的に変化する中で、『民間小型ロケット発射場』の建設を契機とした宇宙・ロケット関連産業など成長分野の企業誘致・集積やIR(統合型リゾート)の誘致に積極果敢に取り組んでいくことで、将来を見据えた新しい産業を創出する。

 なお、令和3年度予定のロケット初打上げに向けて、発射瞬間の臨場感を味わえる見学場(パブリックビューイング)や夢と感動を与える常設展示施設など関連環境整備・運営を進め、紀南地域活性化のシンボルとしていく。

 ・次代に活躍する力ある人材の育成

 コロナにより、長期間の休校を余儀なくされたものの、オンライン教育の実施により、最悪の状況を避けることができた。

 この経験を活かし、さらに教育の質の向上に繋げることが出来るよう、全ての公立学校に導入した1人1台端末の活用を推進するとともに、新たに県立学校で授業での実験動画の活用や授業動画を用いた学習を実施することで、オンライン教育を強力に推進する。加えて、全国に先駆けて公立学校で取り組んでいる本県独自のICT教育の更なる充実を図る。

 また、SNS上などでの誹謗中傷への対応を含むいじめ根絶、不登校の解消に向けた取組を徹底する。

 さらに、コロナの影響で進学をあきらめる子供を出さないよう、奨学金や給付金の活用を積極的に支援する。

 ・チャンスを拡大する基盤の整備

 生産拠点の国内回帰需要やコロナ後のインバウンドのV字回復を見据え、経済活動の基本的チャンスを保障するため、大阪・関西万博までの紀伊半島一周高速道路の実現や県内幹線道路等の早期整備を推進するとともに、新たな業用地開発南紀白浜空港でのビジネスジェット受入拡大に向けた環境整備に積極的に取り組むなど、本県発展に必要となる基盤整備を強力に推進する。

2 令和3年度予算編成方針

 令和3年度の新政策を推進するとともに、平成29年3月に策定した「中期行財政経営プラン」を着実に実施するため、スクラップアンドビルドや事務事業の見直しを徹底することとし、既存事業については-5%のシーリングを実施する。

 また、投資的経費については、事業効果や緊急性等を精査しつつ、全体としての投資が財政健全化の妨げとならないように努める。

 ただし、上記重点政策に沿った事業は、原則としてシーリングを設定しない。

 なお、国の予算編成の動向等を踏まえ、予算編成過程において調整等を行うものとする。

このページの先頭へ